彼岸花咲く びわの里
2014年09月23日 13:01:41
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特集①土屋の四季 花鳥風月 ]
新美南吉の名作『ごんぎつね』の一節に彼岸花の咲く情景が描かれています。
「お昼がすぎると、ごんは、村の墓地へ行って、六じぞうさんのかげにかくれていました。いいお天気で、遠く向こうには、お城の屋根がわらが光っています。墓地には、ひがんばなが、赤いきれのように、さき続いていました。と、村の方から、カーン、カーンとかねが鳴ってきました。そう式の出る合図です。やがて、白い着物を着たそう列の者たちがやってくるのが、ちらちら見え始めました。話し声も近くなりました。そう列は墓地へ入ってきました。人々が通ったあとにはひがんばながふみおられていました。」
兵十のおっかぁが亡くなったときの葬列です。ごんが兵十のおっかぁの葬列を見て改心するという、この物語の中で重要な場面です。
彼岸花は、その特異な見かけと毒をもつという性質から、古くから恐れられていました。江戸時代には、「死人花」「幽霊花」「地獄花」などという不気味な別名を持っていました。
一方、有毒であるという性質を利用して、穴を掘る害獣(ネズミ、モグラ、虫)を避けるために田の畦や墓地に植えられ、作物や土葬の遺体を守るという役割を期待されました。
現在では、ごんぎつねの作者、新美南吉の故郷愛知県半田市では、200万本もの彼岸花植えて観光客の誘致をしています。
ある意味、新美南吉が「ひがんばな」に対する見方を変えたと言っても過言ではないようです。
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